大型犬の爪が伸びて気になったとき、どのように切ったら良いのか、傷つけてしまわないか、最初のうちは爪切りを躊躇してしまいますよね。
トリミングサロンや動物病院でも爪切りをお願いできますが、注意点を守れば自宅で切ることも可能です。
ここでは、大型犬の爪切りの必要性や切り方、注意点などについてご紹介します。
犬の爪の役割

犬の爪切りをする上で、爪の役割について知っておくことが大切です。
まずは犬の爪の役割からご紹介します。
爪にはスパイクの役割がある
犬の爪には、歩いたり走ったりするとき、地面をしっかり捉えて滑らないようにするスパイクシューズのような役割があります。勢いよくダッシュする時に、地面に爪を引っ掛けて滑らないようにするわけですね。
また、肉球を保護する役目もあり、爪がないとダッシュ時に肉球を怪我してしまいます。
このように、犬の爪には重要な役割があるわけですが、逆に伸びすぎると、これらの役割を果たせなくなるだけでなく、爪が途中で折れたり、逆に肉球に突き刺さったり様々なトラブルを招きます。
狼爪(ろうそう)の役割
地面と接する4本の指から離れた高い位置にある爪を「狼爪(ろうそう)」と言いますが、この爪は犬の祖先の名残であり、捕らえた獲物を食べる際、動かないよう獲物を固定するために狼爪を使っていたと考えられています。
しかし、現在はほとんど機能が無いと言われています。基本的には獲物を固定する前足についているもので、後足の狼爪は退化しています。
ほとんど機能がない狼爪なのですが、爪だけは伸びていきます。高い位置にあるので、お散歩で爪が研がれることもありません。
大型犬に爪切りは必要?
普段からアスファルトやコンクートなど固い地面の上を散歩している子の場合、爪は自然に削れるため、切る必要がないくらい短くなっていることもあります。
ただし、足の高い場所に位置する狼爪だけは削れることが無いので、人工的に切ってあげる必要があります。
もし爪を切らなかった場合、どのような問題が起こるのかチェックしてみましょう。
- 爪が折れてケガをする
- 体重をうまくかけられず骨や関節が変形する
- 伸びすぎると巻爪になり爪が肉球に刺さる
爪が折れてケガをする

伸びすぎた爪はケージの床や隙間、カーペットなどに引っ掛かりやすく、根元から折れてしまうことがあります。
犬の爪の中には血管と神経があるので、折れると出血し、痛みを伴います。飼い主さんが爪を確認しようとしても、痛みで手を触らせてくれないこともあるでしょう。
折れた爪は再び生えてくることもありますが、曲がった方向に生えたり、新しい爪が生えてこなくなる可能性もあります。
体重をうまくかけられず骨や関節が変形する
爪が伸びると体重をうまくかけられなくなり、滑って転びやすくなったり、正常な歩行ができずに骨格や関節が変形する場合あります。
椎間板ヘルニアなどの病気のきっかけにもなり得るので、爪だけの問題と安易に考えることは危険です。
伸びすぎると巻爪になり爪が肉球に刺さる
爪が伸び続けると巻き爪になり、肉球に突き刺さって出血したり化膿してしまいます。
中でもお散歩で削れない狼爪は巻き爪になりやすく、長毛の子などは伸びた毛で隠れやすいこともあり見落とされがちです。
気付いたら肉球に刺さっていたというケースも少なくないので、定期的に爪の状態をチェックしましょう。
大型犬の爪切りに必要なもの
大型犬の爪を切る際に必要なものについてご紹介します。
- 使いやすい爪切り
- 止血剤
- ヤスリ
使いやすい爪切りを用意する
大型犬に使える爪切りには、ギロチンタイプやニッパータイプなどがあります。
ギロチンタイプ

ギロチンタイプは軽い力で効率よく爪を切り落とすことができますが、丸まってしまった狼爪には使えない場合があります。
ニッパータイプ

ニッパータイプは一度にたくさん切ることにはあまり向いていませんが、初心者に扱いやすく、爪を少しずつ切り落とすように使用するので切りすぎる危険性が少ないと言えます。

私は爪の太さや巻き具合を見て、ギロチンタイプとニッパータイプを使い分けています。
また、ギロチンタイプには大型犬用のものもありますが、切りすぎを回避するためにできるだけ小・中型犬を使用しています。
爪切りのサイズや特徴は製品によって様々なので、飼い主さんの手に合ったもの、使い勝手の良いものを選ぶことが大切です。
止血剤やヤスリがあると便利
爪を切る前に出血したとき用に止血剤を準備しておくと安心です。
いろんなブランドがありますが、多くの動物病院やトリミングサロンでは、素早く止血できる「クイックストップ(文永堂薬品)」が選ばれています。
また、爪切りの後にヤスリで仕上げると断面が滑らかになります。
ヤスリは必須ではないですが、角がなくなるので、飼い主さんが引っ掻かかれてケガをしたり、家具を傷つけるといった心配がなくなります。
どちらも、ペットショップやホームセンターに置いてあるので、念の為買っておくと安心ですよ。
大型犬の爪の切り方とコツ
大型犬の爪を上手に切るためのコツをご紹介します。
- 可能な限り2人がかりで
- 後足の爪から切る
- 白い爪は血管を確認しながら
- 黒い爪は少しずつ切り進める
- 巻き爪はギロチンタイプの爪切りが使えない
- 出血したら応急処置を
可能な限り2人がかりで
大型犬は力があるので、できるだけ2人で爪切りをしましょう。
1人が爪切りを担当し、もう1人は軽く顔や身体を支えます。優しく声をかけて安心させたり、犬の気をそらすためにご褒美のおやつを与えながら行うのもおすすめです。
無理やり押さえつけると爪切り=嫌なものと記憶してしまうので注意しましょう。
爪切りが終わった後は、お気に入りのおもちゃやご褒美を与えるなどして、たくさん褒めてあげましょう。
後足の爪から切る
足先を触られることを嫌がる犬は多いですが、特に前足の感覚は敏感で嫌がる子が多いようです。
まずは後足を優しく触り、犬の様子を見ながら少しずつ切ります。後足から始めた方が視界に入りにくく恐怖心を抱きにくいということも、後足から始めた方が良い理由の一つです。

どうしても嫌がる場合は一度に全ての爪を切ろうとせず、続きは後日と考えることも大切です。
白い爪は血管を確認しながら

白い爪の場合、血管がピンク色に透き通って見えます。
誤って切ってしまうと出血する危険があります。
一度痛い思いをすると、それがトラウマになって爪切りが嫌いになってしまうので、気をつけてください。
血管の先端から2㎜ほど残して切ります。一回でスパッと切るのではなく、周りの角を落とすように爪の先を尖らせるイメージで切ります。
You Tubeに動画わかりやすい動画があったので上に載せました。
黒い爪は少しずつ切り進める

黒い爪は白い爪と違い、血管の位置が確認できないので、少しずつ断面をチェックしながら切ります。
白く乾いた断面が見えているうちは、まだ切ることができます。切っているうちに黒っぽく湿った断面が見えたら、そのすぐ先に血管や神経があるので、そこで切るのをやめましょう。
巻き爪はギロチンタイプの爪切りが使えない
巻き爪は基本的に他の爪と同じように切りますが、長く伸びて丸まった爪の場合、ギロチンタイプの爪切りは使えない場合があります。
この場合はニッパータイプの爪切りで爪の途中を長めに切断し、その後ギロチンタイプで削りながら長さを調節します。
出血したら応急処置を

止血剤があれば、粉を一つまみして出血している場所につけ、5~10秒くらい押さえておきましょう。止血剤が無い場合は、ティッシュやガーゼを出血した部位に数分押し当て、圧迫止血します。
通常はこれらの方法で血が止まりますが、犬が動いて止血できない場合や、止血処置をしても出血が止まらない場合は、動物病院を受診しましょう。
難しいと感じたらプロにお願いしよう

爪切りを失敗すると、愛犬にケガをさせてしまうだけでなく、次から爪切りを見ただけでも逃げるようになってしまったり、愛犬との信頼関係を損ねてしまうことも考えられます。
自宅では難しい、危ないと感じたら、無理をせず動物病院やトリミングサロンなどにお願いしましょう。