犬を飼っている人であれば、一度は愛犬が下痢をした経験があるのではないでしょうか。大型犬が下痢をする理由は非常に多岐に渡り、消化不良やストレスが原因になることもあれば、感染症などの怖い病気が隠れていることもあります。
ここでは、大型犬が下痢をする理由や下痢の治し方、下痢の予防法などについて解説します。
大型犬が下痢をする原因

大型犬が下痢をする主な理由をご紹介します。
食事によるもの
ドッグフードの種類を変えるときに、急に切り替えるとお腹の調子が悪くなって便がゆるくなったり、下痢してしまうことがあります。フードを切り替えるときには1週間~10日くらいかけて混ぜながら、少しずつ新しいフードの割合を増やしていきましょう。
食べ慣れないおやつなども消化不良の原因になります。与える場合には少量ずつ、様子を見ながら与えましょう。
食べすぎや脂肪分を多く含む食事、食物アレルギーの場合も、下痢を引き起こすので注意が必要です。
ストレス
人がストレスを感じたときにお腹をこわすように、犬もストレスによって下痢になることがあります。
ストレスの原因は犬によって様々ですが、ペットホテルやトリミングに預けられたときや近所で騒音を伴う工事が始まったとき、長時間のお留守番、家族構成の変化(新しい犬か来たなど)、部屋の温度が適切でない、運動不足などが挙げられます。
ストレスによる下痢の場合、原因が取り除かれれば多くの場合体調も改善します。
犬が大きなストレスを感じているときには下痢以外にも、身体を舐め続けて皮膚が炎症を起こしたり、しっぽを噛んだり、粗相をするようになることもあります。愛犬の様子をよく観察してみましょう。
感染症
感染症による下痢は、特に子犬に多く見られます。回虫や瓜実条虫、ジアルジアなどによる寄生虫感染のほか、犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬コロナウイルスなどのウイルス感染症、大腸菌、サルモネラ菌などによる細菌感染によって引き起こされます。
子犬が感染症にかかると急激に体調が悪化し、重症化することも少なくありません。また、他の犬に病気をうつさないためにも、動物病院で適切な治療を受けることが大切です。
その他、病気によるもの
犬が下痢をする病気は様々で、膵炎や肝臓病、腎臓病、炎症性腸疾患(IBD)、消化管の腺癌、悪性リンパ腫、炎症性ポリープ、子宮蓄膿症などに関連し、下痢を引き起こすことがあります。
病気が原因の場合の多くは、元気消失や食欲不振、じっとして動かないなどいつもと違った様子が見られます。病気が長引けば悪化してしまうことも考えられるので、下痢以外に変わった様子がないか観察し、異常を感じたら早目に動物病院を受診しましょう。
大型犬の下痢を治す方法

大型犬の下痢を治すために、飼い主さんにできることをご紹介します。
半日から1日絶食してみる
下痢をしたときは、弱った胃腸を休ませるために半日から一日程度絶食させましょう。食欲がないから心配、といつもと違うフードを与えてみたり、おやつを与えるのは逆効果です。
絶食後は便に問題がなければ、いつもの食事、もしくは消化に良いフードを少量ずつ与え、様子を見ながらいつもの量まで戻すようにしましょう。
子犬の場合、絶食すると低血糖になってしまう危険性があるので、動物病院で治療を受けましょう。
ひどい下痢にはビオフェルミンは効かない
人の整腸薬で有名な「ビオフェルミン」は乳酸菌整腸剤であり、腸内環境を整える働きがあります。人用と動物用があり、成分や用量に違いはありますが、人用のビオフェルミンを与えても基本的に問題はありません。
ただし、あくまで乳酸菌製剤なのでひどい下痢を止めるような効果は期待しない方が良いでしょう。
ひどい下痢は単純な理由でなく他の病気が原因で引き起こされている下痢の可能性もあるので、ビオフェルミンを飲ませても改善が見られない場合には速やかに動物病院を受診しましょう。
動物病院を受診する
ひどい下痢の場合や、下痢以外にも嘔吐や食欲不振、発熱、ぐったりするなど他の症状を伴う場合や下痢に血液や粘膜が混ざる場合は、自宅で様子を見ずに治療を受けましょう。
また、下痢や嘔吐が長く続くときや治っても再発を繰り返すようなときには、脱水状態に陥ることも考えられます。獣医師の判断により、下痢を止める治療に加え、脱水を補正するための点滴が必要になることもあります。
大型犬の下痢は予防できる?

大型犬の下痢には、飼い主さんに予防できるものと、予防が難しいものがあります。ここでは、飼い主さんにできる予防法を4つご紹介します。
拾い食いさせないしつけをする
拾い食いの癖がある大型犬は、家の中にある犬にとって有害な食べ物や薬を食べてしまったり、散歩中に落ちているタバコなど、危険なものを口にしてしまうことがあります。
日頃からしつけておくことが大切なので、食べ物が落ちているときに拾い食いしなかったらご褒美を与えてきちんと褒める、散歩中はリードを短く保持して落ちているものに興味を示したら「オスワリ」と号令をかけるなどして、拾い食いを防止しましょう。
しつけが十分にできていないうちは、口輪を装着して散歩するのも一つの方法です。
食事管理に気をつける
食事管理は、日常的に出来る下痢の予防法です。毎日の食事は量を決め、過食させないよう注意しましょう。人間の食べ物を与えることや、犬用の食べ物であっても食べ慣れない物を与えるのは控えたほうが良いです。
フードの種類を変更する時には、先述したように今まで与えていたフードに新しいフードを少しずつ混ぜながら切り替えます。
途中で便がゆるくなるようであれば、ゆるくなる前の割合に戻します。焦らず様子を見ながら切り替えましょう。
ストレスを与えない
飼い主さんはできる限り犬のストレスを軽減してあげられる工夫をしましょう。
運動量を多く必要とする大型犬は、運動不足がストレスの原因になることが少なくありません。犬種や年齢にもよりますが、1日2回、1回につき30分~1時間程度を目安にお散歩しましょう。
時間のあるときには、ドッグランなどで思いっきり走らせ、ストレスを発散させてあげるのもおすすめです。
新しく家族に犬を迎えた場合などは、無理に会わせて仲良くさせようとしてはいけません。新しい犬をケージに入れた状態で会わせ、先住犬のペースで受け入れてあげられるようにしましょう。
ワクチン接種や寄生虫感染の予防
ウイルス感染症による下痢は、定期的な混合ワクチンの接種が有効です。2種~11種がありますが、どのワクチンを接種すれば良いのかはその子の生活スタイルや、住んでいる地域などによって異なります。獣医師と相談して決めましょう。
下痢を引き起こす寄生虫には様々な種類がありますが、回虫や鉤虫(こうちゅう)などフィラリア症の予防薬で一緒に駆除できる虫もいます。予防薬を与えながら、定期的に検便すると良いでしょう。
大型犬の下痢まとめ
大型犬の下痢はそれほど珍しくありませんが、原因によっては症状が長引いて治りにくくなったり、治療が遅れると重症化する場合もあります。たかが下痢、と軽視しないようにしましょう。
気温の変化や食べ慣れないものを与えたときなど、原因がわかっていて一時的なものであれば様子を見ることも可能ですが、そうでない場合はなるべく早めに動物病院を受診することをおすすめします。
言葉を話すことができない犬に変わって、飼い主さんが愛犬の健康を守ってあげてくださいね。