大型犬はどんな病気にかかりやすい?予防や治療についてもご紹介

病気・ケガ

小型犬と比べ、寿命が短いといわれている大型犬。できることなら、病気をせずに1日でも元気に長生きしてほしいですよね。

愛犬の健康を守るには、どのような病気にかかりやすいのかを知り、日頃から様子を観察して異常にいち早く気付いてあげることが大切です。

ここでは、大型犬がどのような病気にかかりやすいのか、症状や予防、治療法についてご紹介します。

大型犬がかかりやすい病気①|股関節形成不全

成長期の大型犬で、後ろ足の歩き方が安定しなかったり、座り方に異常を感じたら、股関節形成不全かもしれません。

犬の大腿骨の先端は、骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)という半円形の凹みにはまっており、この関節が滑らかに動くことでスムーズな歩行を可能にしています。股関節形成不全は寛骨臼が浅くなっていたり、大腿骨の先端が変形するために様々な症状を引き起こす病気です。

症状

股関節形成不全の症状が強く現れるのは生後4~12ヵ月頃といわれています。

「モンローウォーク」と呼ばれる、歩行時に腰が左右に揺れる特徴的な歩き方が見られたり、走るときに後ろ足が同時に出る「ウサギ跳び」、横座りする、立ち上がりに時間がかかる、段差を避けて歩くといった様子が見られます。

予防法

遺伝的な要因が7割と言われていますが、栄養の過剰摂取で肥満になることや、激しい運動で関節に負荷がかかることなど、環境要因にも影響を受けることがわかっています。

食事の与えすぎには注意し、適正体重を維持しましょう。過度な運動を控えることも大切です。足を滑らせないよう、フローリングには滑り止めのマットを敷いたり、足の裏の毛が伸びる子であれば小まめにカットしましょう。

また、遺伝性の病気なので、股関節形成不全の犬は交配・繁殖を避けることが重要です。

治療法

股関節形成不全の治療法には「内科的(保存的)治療」と手術をする「外科的治療」があり、症状の程度や犬の年齢などによって治療法が決められます。

内科的治療は症状が軽度の場合などに選択される治療法で、痛みの軽減を主な目的とします。体重管理により関節にかかる負担を軽減したり、鎮痛剤やレーザー療法による痛みの管理、サプリメントの投与、マッサージやリハビリなどの運動療法が行われます。

外科的治療は、病気の進行の予防を目的とする場合や、内科的治療で期待する効果が得られなかった場合などに選択されます。犬の関節の状態などにより手術方法が異なりますが、骨盤を矯正する手術や大腿骨の先端を切除する手術があります。

大型犬がかかりやすい病気②|胃拡張胃捻転症候群

犬 よだれ

食後数時間以内に、そわそわしたり、吐くような仕草をしたり、お腹が張っている場合には、「胃拡張胃捻転(いかくちょういねんてん)症候群」の疑いがあります。

胃拡張胃捻転症候群は、胃内にガスが大量発生し、胃が過剰に膨らむ「胃拡張」と、ガスでパンパンになった胃袋が捻れることで「胃捻転」を起こす病気です。緊急度の高い病気で、放置すると数時間で命を落としてしまいます。

どの犬でも発生し得る病気ですが、大型犬、特に胸の深いジャーマン・シェパードやドーベルマン、グレート・デーン、セント・バーナード、ボルゾイなどの犬種に多く発生します。

症状

初期は落ち着きがなくなり、吐こうとするが吐けないといった様子が見られ、次第にお腹が大きく膨らむ、よだれを大量に流す、呼吸困難といった症状が現れます。

更に、胃捻転などにより血液循環に障害が起こるとショックを起こし、短時間で命を落としてしまいます。

食後数時間以内に起こることが多いので、注意して様子を見ましょう。

予防法

胃拡張胃捻転症候群のはっきりとした原因はわかっていませんが、一度に大量のフードを食べたり、早食いをしたり、食後すぐに運動することなどは発症のきっかけになると考えられています。

食事が1日1回であれば、2回以上に分けて1回あたりの給与量を減らしたり、早食いしてしまう子には早食い防止用の食器を使って食事を与えましょう。

お散歩は食事の前に済ませ、食後は激しい運動をさせないように注意しましょう。

治療法

胃や周囲の血流が遮断されることから、急激にショック状態に陥る危険性があります。なるべく早く動物病院で処置を受けることが大切です。

胃の空気を抜くため、口から胃にチューブを挿入してガスを抜いたり、胃捻転を起こしてチューブが入らない場合にはお腹の皮膚から注射針を入れて減圧します。ショックを起こしていることが多いので、同時に点滴や酸素吸入などの治療も行われます。

状況によっては開腹し、捻れた胃を元に戻すための手術が行われます。また、再発を防ぐために、胃を腹壁(腹腔をつくっている壁)に縫い付けて固定することもあります。

大型犬がかかりやすい病気③|拡張型心筋症

拡張型心筋症は、心臓を構成する筋肉(心筋)が通常よりも薄く伸びて拡張してしまうことにより、収縮力が低下する病気です。全身に必要量の血液を送り出すことができなくなり、様々な症状を引き起こします。

症状

初期は目立った症状が現れず、動物病院での定期検診などの際、聴診で心雑音が聴取されて発見に至ることがよくあります。

次第に元気がなくなる、食欲が低下する、体重減少、運動を嫌がる、咳をするといった症状が見られるようになります。

症状が進行すると胸水や腹水が溜まり、呼吸困難や、酸欠により舌や口の粘膜が青紫色に変色するチアノーゼが見られ、突然失神したり、命を落としてしまうこともあります。

予防法

残念ながら、犬の拡張型心筋症を確実に予防する方法はありません。

早期発見・早期治療により症状を緩和させ、病気の進行を遅らせることは可能ですので、定期的に健康診断を受けましょう。

肥満は心臓に負担になるので、日頃から体重管理に注意し、犬の様子に異常を感じたら早めに動物病院を受診することも大切です。

治療法

拡張型心筋症の根本的な治療法は確立されていないため、病気の進行を遅らせることや、症状の緩和による生活の質の改善を目的とした治療が行われます。

血管を広げ血液の流れを良くする薬(血管拡張薬)や、心臓の収縮力を高めて送り出す血液の量を増やす薬(強心剤)、むくみを取るための利尿剤などを使用します。

食事は塩分を制限し、獣医師の指示があれば心臓病用の療法食を与えましょう。

大型犬がかかりやすい病気④|悪性腫瘍

悪性腫瘍、いわゆる癌(がん)は、身体の細胞が異常に増えすぎてしまう病気です。大型犬がかりやすい腫瘍には、組織球肉腫、血管肉腫、骨肉腫、リンパ腫などがあります。良性腫瘍は転移しませんが、悪性腫瘍は転移が多く見られ、再発しやすいという特徴があります。

症状

発生する部位や進行の程度などにより様々です。体表に発生するがんは比較的見つけやすく、皮膚の一部が盛り上がって、赤くなったり、その周囲の毛が抜けたりします。

小さいうちは犬も気にしないことが多いですが、大きくなると違和感や痛みからしこりを舐め、傷つけてしまうこともあります。

体内にできる腫瘍は見た目では分かりにくく、元気が無くなる、食欲の低下、元気がない、下痢・嘔吐が続く、体重減少、血尿、呼吸が苦しそうなどの症状が現れます。

予防法

全ての悪性腫瘍を予防することはできませんが、避妊手術や去勢手術には生殖器に関連した悪性腫瘍(乳腺腫瘍や精巣腫瘍、肛門周囲腺腫)を発生しにくくする効果があることがわかっています。

悪性腫瘍は増殖するスピードが速く、転移する可能性もあるので、日頃から愛犬の様子をよく観察し、早期に発見することが大切です。

治療法

発生する部位などにより異なりますが、切除しやすい部位に発生した腫瘍であれば、早期に切除することで根治が期待できます。手術に放射線療法を組み合わせた治療を行うこともあります。

症状が進行して転移していたり、高齢で全身麻酔のリスクが高い子などは外科手術をせず、生活の質を維持するため、放射線治療や抗がん剤での治療を行います。

まとめ

大型犬がかかりやすい病気は、遺伝的なものから予防できるものまで様々です。
もしこれから子犬を迎えたいと考えている場合は、両親犬が遺伝性の病気をもっていないか、あらかじめ確認できると良いでしょう。

もし、愛犬が遺伝性の病気をもっていたら、むやみに繁殖しないことも大切です。

どの病気にも共通して言えることは、早期発見・早期治療が重要という点です。日頃から愛犬の様子をよく観察し、いつもと違う様子に気付いたら、早めに動物病院を受診しましょう。

この記事を書いた専門家
Yuki

動物専門学校卒業後、動物病院に約15年働いている動物看護師。
■保有資格
「認定動物看護師」「ドッググルーミングスペシャリスト」「コンパニオンドッグトレーナー」

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