大型犬は去勢した方がいい?メリットやデメリット、費用について

病気・ケガ

オスの大型犬を迎え、去勢手術をした方が良いのか迷う飼い主さんは少なくないのではないでしょうか。健康な犬の身体にメスを入れるなんて・・・と躊躇してしまう人もいるかもしれませんが、人間社会で暮らしていくうえで、去勢にはたくさんのメリットがあるのも事実です。

大切なことは、去勢について正しい知識を持ち、後々後悔しない選択をするこということです。

ここでは、大型犬去勢手術をした方が良いのか、メリット・デメリット、去勢手術後の注意点についてもご紹介します。

大型犬は去勢した方がいい?

去勢手術には病気の予防や攻撃性の改善など良い面が多くある一方、全身麻酔などのリスクがあるのも事実です。メリット・デメリットをよく理解した上で、飼い主さんが判断してあげましょう。

いつ去勢する?

犬が性成熟を迎えるのは約生後7ヶ月で、性成熟を迎える生後6ヶ月頃を目安に去勢手術をするのが一般的です。

ただし、大型犬の場合は10~12ヶ月頃性成熟に達すると言われているので、もう少し後に去勢することになります。

性成熟を迎えると足を上げてマーキングするようになります。これは、縄張りを主張するための行動の1つです。

マーキングは一度習慣化すると、去勢してもなおらないことがあるので、早めの手術を希望する飼い主さんが多いようです。

確実なのはかかりつけの獣医師と相談しながら去勢の時期を決めることです。

去勢手術にかかる費用

動物病院は自由に診療費を設定できる自由診療であり、同じ内容の診療であっても診察料や検査代、薬代など病院によって請求される金額が異なります。

そのため、大型犬の去勢手術にかかる費用にも差がありますが、30,000~70,000円くらいが相場になります。

体重が重くなるにつれ使用する麻酔薬の量が増えて手術の手間もかかるので、小型犬や中型犬よりも費用がかかります。

基本的には犬の様子がわかっている、かかりつけ医での手術をおすすめしますが、費用を優先的に考えたいということであれば、近隣の病院に電話して比較してみても良いかもしれません。

大型犬を去勢するメリット

大型犬を去勢することには、次のようなメリットがあります。

病気の予防になる

去勢には、「精巣腫瘍」「前立腺肥大」などの生殖器系の病気のほか、「肛門周囲腺腫」「会陰(えいん)ヘルニア」などの性ホルモンの影響を受ける病気を予防できることができます。

特に、「停留精巣」という、適切な時期に精巣の片側あるいは両方が陰嚢(精巣を入れる袋)まで降りてきていない状態は、放っておくと腫瘍化するリスクが非常に高くなります。

停留精巣の犬は、去勢したほうが良いと言われています。

望まない繁殖を防ぐ

未去勢のオス犬は発情期のメス犬のにおいに敏感に反応し、近付こうとします。

首輪が緩んでいて犬を逃がしてしまったり、飼い主さんが目を離した隙に家から脱走するなどして、未避妊の犬と遭遇してしまえば、相手の犬を妊娠させてしまうかもしれません。

予期せぬトラブルを起こさないためにも、去勢手術は有効と言えるでしょう。

ストレスの軽減

定期的にやってくるメスの発情期とは異なり、オス犬はメス犬のにおいを感じることで発情します。

発情しているにもかかわらず交尾できないという状態は、オス犬にとって大きなストレスになります。マウンティングや攻撃行動などの問題行動にも繋がります。

身体の大きな大型犬がそのような行動を取ると、相手の犬をケガさせてしまったり、お年寄りや子供に飛びかかるなど、大きなトラブルになるかもしれません。

去勢手術をすると性ホルモンが減り、精神的に安定するので、問題行動が緩和したり、減少することが期待できます。

大型犬を去勢するデメリット

大型犬を去勢するデメリットには、次のようなことが挙げられます。

全身麻酔のリスク

大型犬を去勢手術する上で、大きなリスクになり得るのが全身麻酔です。

手術の前には獣医師がきちんと健康状態をチェックし、その子にあった麻酔薬を選び、慎重にモニタリングしながら行われますが、それでもリスクがゼロになることはありません。

全身麻酔をすると呼吸抑制や心拍数の低下、血圧の低下など身体に変化が起こり、程度には差がありますが心肺機能に負担がかかります。

0.1%ほどの確率で命を落としてしまうともいわれています。

繁殖できなくなる

当然のことではありますが、去勢手術では生殖機能を取り除くため、遺伝子を残すことはできなくなります。

私が働いている病院でも、「この子の子供を作ってあげたかった」と後悔する飼い主さんがいたので、子供が欲しいと考えているうちは、去勢手術に踏み切らない方が良いかもしれません。

肥満のリスク

犬は去勢手術すると繁殖するためのエネルギーが要らなくなります。手術する前と同じ食事を続けていると、食事で摂取したエネルギーが消費エネルギーを上回ってしまい、太りやすくなります。

人でも「肥満は万病のもと」と言われているように、犬も肥満になれば様々な病気を引き起こしてしまいます

去勢手術後に肥満になるか適正体重を維持できるかは、飼い主さんのお世話次第です。食事や運動で、上手に体重をコントロールしましょう。

大型犬の去勢後の注意点

退院後は、すぐにいつも通りの生活に戻して良いわけではありません。
しばらくは犬の様子を観察し、安静に過ごさせてあげましょう。

去勢手術後は元気がなくなる

去勢手術の後は、しばらく元気が無かったり、食欲が低下することがあります。
2~3日経っても回復しなかったり、徐々に体調が悪化するようなときは、様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

通常は手術のときに痛み止めを注射しますが、薬が切れて痛みを感じ始めたり、違和感などから傷口を気にすることがあります。

舐めようとして絆創膏を剥がしてしまったり、傷口を舐めてしまうと傷が治りにくくなり、手術で縫合した傷が開いてしまうこともあるので、エリザベスカラーや手術後用の服の着用が必要になることもあります。

病院で気にしていなくても、帰宅後に安心感から舐め始める子も多いです。しばらくは飼い主さんがよく観察し、愛犬の様子の変化に気付いてあげましょう。

激しい運動をすると傷口が開く場合がある

傷口が濡れたり汚れてしまうと、治りが遅くなる可能性がるので、雨の日の散歩は控えましょう。

また、激しい運動や興奮するような遊びは避けましょう。傷口が開いたり、痛みが出る可能性があります。

手術後はできるだけ安静に過ごさせます

退院後すぐのお散歩は排泄を済ませる程度にし、体調が安定していたら、犬の様子を見ながら少しずつ距離を伸ばしていきます。

また、シャンプーする場合は、抜糸後2~3日経ってからにしましょう。

食事・運動管理しないと太る

前述したように、手術前と同じ量の食事を与えると、少しずつ体重が増えて肥満になる場合があります。

おやつを控える、ごはんの量を減らす、低カロリーのライトフード変えるなどして、体重を維持しましょう。

運動管理も大切です。
抜糸が済んだら、十分に運動させてあげましょう。

大型犬の散歩は、犬種や年齢にもよりますが1日2回、1回につき1時間程度が目安といわれています。

時間があるときはドッグランやドッグプールに出かけるのもおすすめです。
運動不足の解消だけでなく、ストレス発散にもなりますよ。

まとめ

去勢には生殖器に関係する病気の予防や、ストレスの軽減、攻撃行動の抑制などたくさんのメリットがあります。繁殖する予定が無いのであれば、去勢手術を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

また反対に、将来は愛犬の子供を残したい、太ってしまった場合に体重管理ができるか不安、といった場合には慎重に検討する必要があります。周りがみんな去勢しているから、と何となく手術してしまうと、後で後悔することになるかもしれません。

犬が幸せな一生を送れるかは、飼い主さんの判断にかかっていると言っても過言ではありません。できるだけ正確な情報を集めた上で信頼できる獣医師などに相談し、悔いのない選択をしてあげてくださいね。

この記事を書いた専門家
Yuki

動物専門学校卒業後、動物病院に約15年働いている動物看護師。
■保有資格
「認定動物看護師」「ドッググルーミングスペシャリスト」「コンパニオンドッグトレーナー」

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